一見、同じ抗生物質であるメイアクトMSも使用できると思われますが、
つまり、ペニシリンは高脂肪食の太りやすさを「増幅」すると考えるのが理にかなっています。我々は高脂肪食を取りすぎれば太るということを経験的に知っていますが、抗菌薬を飲んでいればより太りやすくなると考えなければならないようです。もっとも、この研究は出生後間もないマウスを対象にしています。成長後のマウスはどうなのか、そしてヒトについてはどうなのかについては、現段階では正確なデータはありません。
クラミジアの治療にて効果のある抗生物質は、以下の3つの種類です。
これにはマウス(ネズミ)などの実験動物に抗生剤を投薬した研究と乳児期の抗生剤服薬と10歳までの体重の関係を調べた研究などの総まとめが書いてありました。
マウスを使った動物実験ではびっくりする結果が報告されています。肥満のマウスから分離した腸内細菌を正常体重のマウスに移植すると(食べさせる、便移植と言います)正常体重のマウスは肥満となり、痩せたマウスの便由来の腸内細菌を食べさせると痩せるというのです。このような腸内細菌は抗生剤を服薬すると破壊されたりかく乱されたりします。複雑なのは、抗生剤を使ってマウスの腸内細菌を完全に破壊した場合と腸内細菌をかく乱するに留めた場合ではその後の体重変化は真反対となることです。つまり、腸内細菌が完全に破壊されると痩せたマウスへ、中途半端に変化すると肥満のマウスになっていくというのです。この事実は太る、痩せるは腸内細菌が大きく影響しているだけでなく、腸内細菌が抗生剤によって人為的に破壊あるいはかく乱されれば、体型が変わってしまうことを示しています。これらの動物実験の方法をそのまま人体で実験するのは人道的に困難ですが、ヒトでも同じようなことが起こっていると予想されています。
一方、ヒトでは別の研究方法(コホート研究)がたくさん行われています。コホート研究とは住民や患者のデータを登録しておいて、その後の経過を10年単位で追跡するどのような病気が発症あるいは死亡したかを研究する方法です。今回の場合、生後6ヶ月から1歳までの乳児数万人を登録してその後7年から10年後の体重の変化と抗生剤使用の関係を調べています。この方法を使った多くのコホート研究から、生まれて6~12ヶ月までに抗生剤を服薬すると7-10歳に肥満になる可能性が高いという結論となりました。つまり、乳児期の抗生剤服薬は学童になったときの肥満を決定する一因となっていることを示しています。
日本ではとくに耳鼻科や小児科領域で抗生剤の乱用がずっと以前から指摘されています。私が専門とする内科領域では38度以上の発熱患者の95%はウイルスや気候変化などが原因なので抗生剤は効きません。一方、抗生剤服薬の適応となる細菌感染症はわずか5%です。つまり38度以上の発熱を伴う風邪や胃腸炎の患者さんの95%はなにもしなくても自然治癒するのです。この原理は小児科でもほぼ同じです。読者の皆様もこの科学的な真実をよく理解して不要な抗生剤の服薬を避けるべきです。抗生剤によって腸内細菌の破壊やかく乱が起こってしまうと、前回の糖尿病、今回の肥満や痩せだけでなく、もっといろいろな疾患を引き起こす確率が高くなります。
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その中で大きな変更点としては
例えば重症の急性中耳炎ではこれまでのガイドラインだと『鼓膜切開+抗生剤投与』と書いてあったのですが、今回から『鼓膜切開が可能な環境では実施を考慮する』という風に追記がされました。
つまり耳鼻科医以外の鼓膜切開ができない医師にも使いやすいガイドラインにしたわけです。
これまでは『抗生剤投与3日後』だったのが、今回は『抗生剤投与3~5日後』と幅が広がりました。
まぁ抗生剤が必要な急性中耳炎で3日間だけの投与で終了することは少ないですし、実際の現場では必ず3日後に効果を判定するということはないでしょうから。妥当な変更でしょう。
ちなみに、使用する抗生剤は変更ありません。
軽症ではまず『アモキシシリン(ワイドシリンなど)』。
中等症や軽症でもアモキシシリンで効果が薄い場合は『アモキシシリン高容量投与』、『クラブラン酸カリウム・アモキシシリン合剤(クラバモックス)』、『セフジトレンピボキシル(メイアクト)』。
それらで効果がない場合や、重症の場合は『セフジトレンピボキシル高容量投与』、『トスフロキサシン(オゼックス)』、『テビペネムピボキシル(オラペネム)』。
今回のガイドライン変更によって治療が大きく変わることはないと思います。特に耳鼻科医は。
抜歯した時に処方される抗生物質って太ることありますか? 病気、症状 ..
ここでマウスの実験を紹介したいと思います。米国の医師マーティン・J・ブレイザーは自著「失われていく、我々の内なる細菌」の中で、抗菌薬をヒトが使用すると肥満になる可能性を指摘しています。そのブレイザーがおこなった有名な研究があります。マウスにペニシリンという抗菌薬を与え、さらに高脂肪食を与えると、体重がどのように変化するかを見たものです。家畜と同じように、マウスにペニシリンを与えると体重が増加したのですが、興味深いのはここからです。メスのマウスに高脂肪食を与えると予想通り体脂肪量がおよそ5g増えたのですが、ペニシリンと高脂肪食を一緒に与えるとその増加量は10gと倍増したのです(注1)。
しかし、おそらくアッカーマンシアを恒常的に摂取することができたとしてもそれだけで肥満の問題が解決するわけではないでしょう。現在、腸内細菌と肥満について世界的に有名な研究者にピーター・ターンバウ(Peter J. Turnbaugh)氏がいます。ターンバウ氏は、低脂肪で食物繊維を豊富に含む食事から高脂肪・高糖質の「西洋」型食事に変更すると、わずか1日で腸内フローラが変化することを指摘し、やせ型の腸内細菌を増やす食生活が重要であることを主張しています(注5)。
アモキシシリンという抗生物質を飲み始めてから体重が増加しています。
抗生剤は細菌を殺すための薬ですが,カゼの原因のウイルスには効きません。子どもの感染症の大部分はウイルス感染なので,カゼ症状の一つである中耳炎や副鼻腔炎も含めて抗生剤は稀な例を除いて効きません。しかし,日本の子どもたちは北欧の子どもたちの10倍ほども抗生剤を飲んでいます。また,使われている抗生剤も海外では小児への投与が禁止されている強力な抗生剤(オゼックスやオラぺネムなど)が普通に使われています。抗生剤の使用を減らすことで川崎病が減ることが期待されます。不用意に抗生剤を使うのはやめたいですね。
私自身もこの考えに賛成です。肥満の解消として、現時点では「やせ菌」のカプセル登場にも糞便移植にも期待すべきではありません。低脂肪で食物繊維が豊富な食事を基本とすることが重要なのです。そして、もうひとつの重要なことは、抗菌薬の過剰使用を控える、ということです。我々ひとりひとりが抗菌薬の適正使用を心がけ、家畜の抗菌薬使用に関心を持つのです。
アモキシシリンは、特定の性感染症 (STI) の治療のために経口で服用する抗生物質です。 アレルギー(Allergies)
単に美容的に痩せたいのではなく、先ほどから述べているように「肥満」は病気なのだから、治療として考えれば腸内細菌を整えて行くのは効果的だと思う。「フローラ移植」はまず、腸内環境を入れ替える有効かつ唯一の手段だ。ただ、それに合わせて生活も変えていかないと本当の治療にはならない。難病や症状が悪化している症例では、先に抗生物質で現状の悪いフローラを叩いてから移植するのだが、やはりその後の生活改善も大事になってくる。
;)
こういったこともあり、『漢方薬=副作用なし』という認識が広まったのかもしれませんね。
さて、耳鼻科でよく使う漢方薬としては...
小青竜湯
柴苓湯
当帰芍薬散
八味地黄丸
加味帰脾湯
十全大補湯
半夏厚朴湯
などが挙げられます。
この中でも耳鼻科での使用頻度が高いと思われるを例に挙げます。
特にアレルギー性鼻炎で小青竜湯を使ったことがある方は結構多いんじゃないでしょうか。
この小青竜湯の中に『麻黄』という成分が含まれています。
この『麻黄』の主成分は『エフェドリン』と言います。
というより元々『麻黄』という植物から『エフェドリン』は抽出されました。
『エフェドリン』は交感神経刺激薬として気管支喘息や気管支炎の咳止めのように使用されていたり、麻酔時の血圧を上げるために使用されたりします。
血管を収縮させる働きがあるので、妊娠されている方は避けた方が良いとされています。
この『麻黄』ですが、有名な『』にも含まれています。
妊娠中の風邪症状などに小青竜湯や葛根湯は避けた方が良いでしょう。
(ドラッグストアでも買えちゃいますし)
さらに小青竜湯に含まれる『甘草』という成分は『偽アルドステロン症』という副作用を起こす可能性があることも有名。
『偽アルドステロン症』とは血圧を上げるアルドステロンというホルモンが増えていないのに高血圧などの症状を呈するものです。
これは特に高齢者の場合、注意が必要。
色々怖そうな感じで書いちゃいましたが、もちろんこのような副作用が必ず起きるわけではありません。
特に『漢方薬が悪い』というわけでももちろんありません。
何度も書いてますが、漢方薬だろうが西洋薬だろうが『薬』とされているものは全て副作用を起こす可能性があります。
不要な薬は飲まない方が良いし、必要がある時は医師や薬剤師の指示を守ってしっかり使ってください(
アモキシシリンが使われる病気や用法・用量、副作用を解説。風邪への適応やほかの薬やアルコールとの飲み合わせ、先発・後発品についても掲載。
2015年のネイチャーという有名なイギリスの科学雑誌に驚く記事が載っていました。タイトルは「人生初期の抗生剤と肥満」です。
中等症や軽症でもアモキシシリンで効果が薄い場合は『アモキシシリン高 ..
家畜に大量の抗生物質が使われているのは御存知だと思う。当然それを食べている人にも抗生物質は入ってくる。戦後、抗生物質が使われて感染症が駆逐されるのと時を同じくして「肥満」が世界に蔓延し始めたのとも重なる。 このように「肥満」の原因は色々であるが、単なる「生活習慣病」ではなく腸内細菌のバランスが崩れたことによる栄養貯蔵システムの異常と考えると色々な意味で辻褄が合う。
『アレルギーの薬をずっと飲んでると太ると聞いたんですが、大丈夫ですか?
ミヤBMは腸内で増殖することによって効果を発揮する薬です。腸内細菌は生き物であるため、体内で増えるのには時間がかかります。整腸効果を発揮し始めるのは内服してからおよそ5時間後からで、効果の持続時間は1〜2日間といわれています。ただし作用時間には個人差がある点と、用法・用量を守って服用しないと十分な効果が発揮されない可能性がある点はご了承ください。
サワシリン錠250の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)
もう一つの原因として、「抗生物質」があるのではないかと思う。抗生物質は感染症を防ぐためだけではない。抗生物質は体重も増やすのだ。鶏などの家畜に抗生物質を与えると体重が増えるのは周知の事実だ。人に対しても1950年頃から指摘されていたが、肥満がまだ、社会的に深刻な問題となっていなかった為に深く議論されないままになっていた。特にバンコマイシンとゲンタマイシンはそれに耐性のある例の肥満菌のフィルミクテス門以外の細菌を死滅させるので、結果フィルミクテス門系の細菌が増え、肥満になると言うわけだ。
気管支喘息やアレルギー性鼻炎に効果のあるプランルカストの副作用、風邪薬との飲み合わせなどを解説します。
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援する代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。 月額110円メルマガ<>を配信中。
医者が知らない医療の話|肥満も感染症? 免疫に関わる腸の話(2)
脂肪細胞から分泌されるレプチンと言うホルモンがある。これは脳に作用し、食欲を抑える働きがある。脂肪が充分に蓄えられると、本来このレプチンが放出され、食欲が抑えられバランスが保たれるはずだ。ところが太った人は脳がレプチンを感知しにくくなっている。脳に「レプチン耐性」ができてしまっているのだ。この事は「肥満」が「生活習慣病」ではなく「器質的疾患」であると言える。 さらに、アデノウイルスの一種で、エネルギーが余っていない場合でも脂肪を蓄えるようにするものがある。痩せた人は新しい脂肪細胞が分裂してそこに少量づつ脂肪を蓄える。一方、太った人は脂肪細胞の数は増えず、肥大化した脂肪細胞に多量の脂肪を蓄える。そして、その脂肪細胞は炎症を起こしており免疫細胞が集まっている。もはや立派な感染症だ。
の投与を行わないことを推奨。 中等症又は重症の場合のみ、 アモキシシリン水和物内服を ..
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例によってひとつご紹介。
使用するお薬が変わってきたというお話。
このブログでもたびたび書いてますが、日赤でも抗生剤の使用量がかなり減っているそうです。
特に3世代セフェムと呼ばれるフロモックス、メイアクト、セフゾン、バナンなどのお薬はここ10数年で10分の1以下になっているそうです。
しかし、重症の感染症は減っている。これはワクチンが充実したことが大きいと思いますが、抗生剤が必要な場面というのは本当は多くないということでしょう。
また、以前はよく使用していたペリアクチン、ポララミン、アタラックスなどの第1世代抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)も減っているようです。
小児の風邪にお約束のようにアスベリン、ペリアクチン、ムコダインって感じで処方されることも多いこれらのお薬ですが、基本的に古いアレルギーのお薬ですので、副作用として中枢神経抑制(眠気、集中力の低下など)が強く、また、熱性けいれんを誘発する可能性があります。
これも以前に一度書きましたね。
いずれにせよ、お薬なんて飲む必要がないなら飲まない方が良い。
その必要性をしっかり見極めるのは医師の努力です。
...頑張ります(
アモキシル (アモキシシリン) · アンピシリン · アナフラニール (クロミプラミン) ..
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以前にも何度か書いた覚えがありますが、マクロライド系という抗生剤についてです。
特にクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)というお薬。
まず、抗生剤はな薬となお薬に分かれます。
なものはペニシリン系やセフェム系など。代表的なものとしてワイドシリンやパセトシンやメイアクトやフロモックスなどなど。
読んで字のごとく細菌を『殺す』ようなお薬です。
なものの代表がマクロライド系です。
これは細菌の増殖を抑えるように働きます。
なので、急性期の感染症にはあまり効果は望めません。
マイコプラズマに対して有効だったのですが、最近は耐性化が進んでしまい使いづらくなりました。
有名な使い方がという方法です。
マクロライドには炎症を抑えたり、免疫を調整する効果があることが知られています。
そのため、通常使う量の半分以下で長期間内服を続ける方法が慢性副鼻腔炎やびまん性汎細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などによく用いられます。
非常に効果がある方法なのですが、実はこの免疫調整機能や抗炎症作用はメカニズムがよく分かってなかったのです。
それが先月、そのメカニズムが分かってきたという発表がありました。
詳細は省きますが、これがもっと詳しく解明されれば、マクロライドの抗生剤としての機能をなくして免疫調整機能や抗炎症作用のみを持つ新薬が開発されるかもしれません。
そうすれば耐性菌の問題にも貢献しますし、非常に有用なお薬になることでしょう(
プレマリン 太る 予防 高プロラクチン血症 ブロモクリプチン ブロモグリプチン
さて、本題の「肥満」もカロリーのinとoutだけでは説明できない事は前回も触れた。摂取した食べ物のカロリーではなく、肝心なのは、それが体にどれだけ吸収されるか、またはどれだけが使われ、どれだけが蓄えられるかで考えなければならない。まずエネルギーをどう吸収するかは、その人の腸内細菌の分布によって異なる。フィルミクテス門がバクテロイデーテス門より多い人は最大で2%余分にカロリーを吸収すると言われている。たかが2%と侮ってはいけない。同じ2000kcalの食事をしていても人によっては2040kcal吸収している事になる。体重60kgの人なら1年で約2Kgの増加、10年で約20Kgの体重増加となり立派な肥満体になる。更に、腸内細菌はエネルギーを消費するか、体内に蓄えるかにも重要な影響力がある。痩せた人に高カロリー食を与え続けるとフィルミクテス門の細菌が増えて来る。つまり太りやすい体質になってくるのである。
アモキシル (アモキシシリン) · アンピシリン · アナフラニール ..
抗生物質の内服薬が市販で販売されていない理由は、以下の3つが考えられます。
そのため、下痢を予防するために抗生物質に耐性を持つ
およそ腸とは無関係と思われる「自閉症」などの疾患も「腸内細菌」が関与していることが明らかになってきている。これらの疾患はウイルスが脳を制御する物質を放出することによって引き起こされており、このウイルスを排除できない組成の腸内細菌を持っている人が発症するという考え方だ。突飛な話ではない。寄生虫が宿主を操る例は自然界では多々見られる。例えば狂犬病ウイルスは宿主の犬を他の犬に噛みつかせて繁殖し続ける。