外線吸収の結果を示す。 デキサメタゾン及びべタメタゾン標準比較ぷ−
(*4)生物学的等価体:医薬分子において生物学的に同じ役割を果たす他の部分構造のこと。薬物の主要生物活性に影響を与えることなく、医薬に含まれる官能基を他のもので置換えることで、医薬特性を改善させる目的で用いられる。
代謝されるが,約 21%が未変化体として尿中から排泄される。 [特 徴] メサドンは光学異性体 ..
(*2)ジオキサン:環状エーテルの一種で、医薬品化合物や生物活性物質にしばしば含まれる、有機分子の黄基本骨格の一つ。
(*1)光学活性:例えば手袋の右手と左手のように、図形や物体、分子などが自身の鏡像と重ね合わせることができない性質を光学活性といい、その性質を持つ化合物を光学活性体という。
変異性を介するため,異なる光学異性体である M1 及び M2 が生じた。M1 及び M2 ..
本研究は、日本学術振興会 科学研究費 基盤研究「化学結合切断と双性イオンの発生、反応性制御に基づく中員環分子群のモジュール合成」(代表者:柴田哲男)等の支援を受けて実施しました。
本手法を用いると、入手容易なジフルオロメチルケトン類から、これまで合成困難であったジフルオロメチル基を四置換不斉炭素持つジオキサン類を完全立体制御して構築することができます。冒頭にも述べたように、ジフルオロメチル基はカルボニル基やスルホニル基、エーテル結合の生物学的等価体として利用されている一方、高度な立体制御を伴ったジフルオロメチル化合物の合成法は未開拓でした。そのため、本研究で得られた光学活性ジフルオロメチル-ジオキサン類はこれまでにない新しい骨格を持つフッ素医薬品の探索研究への応用が期待されます。さらに、今回柴田教授らが開発したパラジウム触媒は、当該反応だけではなく、ADTMCや様々な化合物と組み合わせて反応させることで、複数の不斉炭素を持つ有機化合物の合成展開が期待されます。
また、特に記載がない限り、それらの光学異性体、立体異性体及び構造
(*5)不斉炭素:有機分子中でつの異なる置換基が結合した炭素原子のこと。一般に個の不斉炭素を有する有機分子にはの光学異性体が存在する。つの光学異性体を立体選択的に合成する不斉合成は有機合成化学における一大テーマである。
図3.新しくデザインした触媒によって位置選択性、立体選択性の完全制御を実現(本発明)
また、特に記載がない限り、それらの光学異性体、立体異性体及び構造異
本発明の成功の鍵は、反応剤としてアルキリデントリメチレンカーボネート(ADTMC)と、新しく設計したパラジウム触媒を用いたことにあります(図3)。ADTMCを用いた反応自体は10年前に報告されていましたが、複数の反応点を有することから立体制御が難しく不斉反応への応用は未開拓でした。そこで徹底的なパラジウム触媒のスクリーニングにより触媒構造と選択性の相関を明らかにし、それらを基に新たな触媒をデザインすることで複数の反応点や立体選択性の完全制御に成功しました。本反応は多様なジフルオロメチルケトン類に適用可能であり、簡単な操作で精密に立体構造を制御された光学活性ジフルオロメチルージオキサン類を得ることができます。また、本手法で得られた新しいジオキサン類は様々な化学変換反応を施すことが可能であり、医薬品候補化合物の合成への利用が期待できます(図4)。
フッ素(*3)原子は、至るところで私たちの生活を支えています。中でも有機フッ素化合物は医薬品の材料として多用されており、医薬品全体の約20%フッ素系医薬品です。フッ素は医薬品化合物の化学構造に導入すると、生理活性に関わる性能を劇的に向上させることが多々あるためです。抗HIV薬のエファビレンツやコロナウイルス治療薬デキサメタゾン、抗マラリア薬のメフロキンなどが代表例として挙げられます。しかしながら、有機フッ素化合物の化学合成は、フッ素が誘引する特異な性質のため一筋縄ではいかないことが多く、簡便で信頼性の高いフッ素化合物の合成法の開発が望まれています。とりわけ、医薬品開発には不可欠である光学活性フッ素化合物の合成手法の開発は難易度が高く、挑戦的な課題であると言えます。
フッ素官能基の中でもジフルオロメチル基(-CF2-)はカルボニル基やスルホニル基、エーテル結合の生物学的等価体(*4)として作用するため、創薬研究において有用なツールとして利用されています。これまで、ジフルオロメチル基を有する化合物の合成法はいくつか報告されていますが、不斉炭素(*5)、特に環状骨格上の四置換不斉炭素にジフルオロメチル基を有する化合物の合成は残された課題でした。
今回、柴田教授らは、独自に設計したパラジウム触媒を用いて、合成容易なジフルオロメチルケトンから合成困難なジフルオロメチル基が不斉炭素に導入された光学活性ジオキサン類を簡便に合成する手法を開発しました(図1)。ジオキサン骨格は医薬品開発には重要な骨格の一つです(図2)。本手法は、医薬品候補化合物として魅力的な光学活性ジオキサン骨格上にジフルオロメチル基を持つ化合物を一挙に構築することができ、新たなフッ素医薬品開発に向けた強力なツールとなることが期待されます。